近年、人工知能(AI)技術の発展により、さまざまな業務が自動化されています。中でも、自然言語処理(NLP)技術を活用したAIが大きな進歩を遂げており、OpenAIのGPT-4アーキテクチャをベースに開発されたChatGPTはその代表例です。
本記事では、ChatGPTを用いてエンジニア業務を効率化する方法を7つ紹介します!
ChatGPTの概要
ChatGPTは、大規模なデータセットを用いて学習された自然言語処理モデルです。文章の生成や質問応答、要約など、幅広いタスクをこなすことができます。GPT-4アーキテクチャを採用しているため、精度が高く、自然な文章生成が可能です。
① 自動コード生成による開発時間の短縮
◆ 概要
自動コード生成は、ChatGPTを活用することで実現可能な効率化手法の一つです。具体的な要件や仕様を説明することで、ChatGPTは適切なコードを生成してくれます。この機能を利用することで、エンジニアは繰り返しの作業を省くことができ、開発時間を短縮できます。
◆ 実践的な例
例えば、Pythonでリスト内の数字を合計する関数を作成したい場合、以下のような指示をChatGPTに与えることができます。
Pythonでリスト内の数字を合計する関数を作成してください。
ChatGPTは、以下のようなコードを生成します。
def sum_of_list(numbers):
return sum(numbers)
sample_list = [1, 2, 3, 4, 5]
result = sum_of_list(sample_list)
print(result)
このように、要件を簡潔に説明するだけで、ChatGPTが必要なコードを提供してくれます。
② エラー検出と修正の効率化
◆ 概要
ChatGPTは、コード内のエラーやバグを検出し、修正案を提案することができます。この機能により、エンジニアはデバッグ作業を効率化でき、品質の高いコードを素早くに完成させることができます。また、ChatGPTは、複数の解決策を提案することがあるため、エンジニアは最適な修正方法を選択することができます。
◆ 実践的な例
以下に、エラーが含まれるPythonコードの例を示します。
def divide_numbers(a, b):
result = a / b
return result
print(divide_numbers(10, 0))
このコードでは、ゼロ除算エラーが発生します。ChatGPTにエラー修正のアドバイスを求めるには、以下のような質問を投げかけます。
このPythonコードでゼロ除算エラーが発生しています。どのように修正すべきですか?
ChatGPTが提案する修正案は以下のようになります。
def divide_numbers(a, b):
if b == 0:
print("Error: Division by zero is not allowed.")
return None
result = a / b
return result
print(divide_numbers(10, 0))
このように、ChatGPTはエラーを検出し、適切な修正案を提案してくれます。
③ リファクタリングのサポート
◆ 概要
リファクタリングは、コードの外部振る舞いを変更せずに、内部構造を改善するプロセスです。これにより、コードの可読性や保守性が向上します。ChatGPTは、適切なリファクタリング案を提案することができます。また、ChatGPTは様々なリファクタリング手法に対応しており、最適な改善策を選択することができます。
◆ 実践的な例
以下に、リファクタリングが必要なPythonコードの例を示します。
def calculate(a, b, operation):
if operation == "add":
return a + b
elif operation == "subtract":
return a - b
elif operation == "multiply":
return a * b
elif operation == "divide":
return a / b
result = calculate(10, 5, "add")
print(result)
このコードでは、calculate
関数が複数の演算子に対応しています。ChatGPTにリファクタリングの提案を求めるには、以下のような質問を投げかけます。
このPythonコードをリファクタリングして、より良い構造にしてください。
ChatGPTが提案するリファクタリング案は以下のようになります。
def add(a, b):
return a + b
def subtract(a, b):
return a - b
def multiply(a, b):
return a * b
def divide(a, b):
return a / b
operation_mapping = {
"add": add,
"subtract": subtract,
"multiply": multiply,
"divide": divide
}
def calculate(a, b, operation):
return operation_mapping[operation](a, b)
result = calculate(10, 5, "add")
print(result)
このように、ChatGPTは適切なリファクタリング案を提案し、コードの可読性や保守性を向上させます。
④ コードの解説と理解の促進
◆ 概要
ChatGPTは、コードの解説や機能に関する説明をしてくれます。この機能により、エンジニアは他者が書いたコードや自分で書いた古いコードを理解しやすくなります。また、新たな技術や言語を学ぶ際にも、ChatGPTがコードの理解をサポートしてくれます。
◆ 実践的な例
以下に、解説が必要なPythonコードの例を示します。
def fib(n):
if n == 0:
return 0
elif n == 1:
return 1
else:
return fib(n - 1) + fib(n - 2)
print(fib(10))
このコードの機能についてChatGPTに説明を求めるには、以下のような質問を投げかけます。
このPythonコードの機能を説明してください。
ChatGPTの回答は以下のようになります。
このPythonコードは、フィボナッチ数列のn番目の値を計算する再帰的な関数`fib`を定義しています。`fib`関数は、引数`n`が0の場合は0を返し、`n`が1の場合は1を返します。それ以外の場合、`n-1`番目の値と`n-2`番目の値の和を返します。最後に、`fib(10)`を呼び出して、フィボナッチ数列の10番目の値を計算し、その結果を表示しています。
このように、ChatGPTはコードの解説をしてくれるため、素早くコードを理解することができるようになります。
⑤ コメント追加による可読性向上
◆ 概要
コメントは、コードの可読性や理解を向上させる重要な要素です。しかし、適切なコメントを書くことは時間がかかる場合があります。ChatGPTを使用することで、自動的に適切なコメントを生成し、コードの可読性を向上させることができます。これにより、エンジニアはより迅速にコードを理解し、効率的に作業を進めることができます。
◆ 実践的な例
以下に、コメントが不足しているPythonコードの例を示します。
def gcd(a, b):
while b:
a, b = b, a % b
return a
このコードの各行にコメントを追加するようにChatGPTに指示するには、以下のような質問を投げかけます。
このPythonコードの各行にコメントを追加してください。
ChatGPTが生成したコメント付きコードは以下のようになります。
def gcd(a, b):
# bが0になるまで繰り返す
while b:
# aにbを代入し、bにaをbで割った余りを代入する
a, b = b, a % b
# 最大公約数を返す
return a
このように、ChatGPTは適切なコメントを生成し、コードの可読性を向上させます。
⑥ 関数名の作成でコードの意図を明確化
◆ 概要
関数名は、その関数が行う処理や目的を明確に表すことが重要です。適切な関数名は、コードの可読性と保守性を向上させるために役立ちます。ChatGPTを使用することで、関数の目的に応じた適切な名前を自動的に生成することができます。これにより、エンジニアはコードの意図を明確化し、他の開発者が理解しやすいコードを書くことができます。
◆ 実践的な例
以下に、関数名が適切でないPythonコードの例を示します。
def func(a, b):
return a * a + b * b
このコードの関数名を改善するようにChatGPTに指示するには、以下のような質問を投げかけます。
このPython関数の目的に合った適切な関数名を提案してください。
ChatGPTが提案する関数名は以下のようになります。
sum_of_squares
このように、ChatGPTは適切な関数名を生成し、コードの意図を明確化します。改善されたコードは以下のようになります。
def sum_of_squares(a, b):
return a * a + b * b
⑦ フォルダ構成の提案によるプロジェクトの整理
◆ 概要
プロジェクトのフォルダ構成は、コードの整理や管理において重要な役割を果たします。適切なフォルダ構成は、コードの可読性や保守性を向上させ、開発者が迅速に必要なファイルを見つけることができるようにします。ChatGPTを使用することで、プロジェクトの要件や規模に応じた適切なフォルダ構成を提案することができます。これにより、エンジニアはプロジェクトを効率的に整理し、業務効率を向上させることができます。
◆ 実践的な例
以下に、ChatGPTにフォルダ構成の提案を求める例を示します。
Flaskを使用したWebアプリケーションのための適切なフォルダ構成を提案してください。
ChatGPTが提案するフォルダ構成は以下のようになります。
your_project/
├── app/
│ ├── __init__.py
│ ├── models.py
│ ├── routes.py
│ ├── static/
│ │ ├── css/
│ │ ├── images/
│ │ └── js/
│ └── templates/
│ ├── base.html
│ └── index.html
├── config.py
├── requirements.txt
└── run.py
このように、ChatGPTは適切なフォルダ構成を提案し、プロジェクトの整理をサポートします。
まとめ
ChatGPTを用いた業務効率化は、エンジニア向けに多くのメリットをもたらします。本記事では、以下の7つの具体的な利点を紹介しました。
- 自動コード生成による開発時間の短縮
- エラー検出と修正の効率化
- リファクタリングのサポート
- コードの解説と理解の促進
- コメント追加による可読性向上
- 関数名の作成でコードの意図を明確化
- フォルダ構成の提案によるプロジェクトの整理
これらの機能により、コードの可読性や保守性が向上し、全体的な開発効率が向上します。逆に、ChatGPTを上記のように使いこなせる人と、そうでない人では開発効率に大きな差が生まれると考えられます。
そのため、エンジニアはChatGPTや他のAIツールの最新動向を常に追っていく必要があるでしょう。
ただし、ChatGPTを使用する際には、以下の注意点や限界に留意することが重要です。
- 生成されたコードの正確性: ChatGPTは非常に強力なツールですが、必ずしも正確なコードを生成するわけではありません。生成されたコードは、適切なテストやレビューを行い、必要に応じて手動で修正することが望ましいです。
- 独自の業務ルールやコーディング規約: ChatGPTは汎用的な知識を持っていますが、独自の業務ルールやコーディング規約に対応する場合、生成されたコードに手動で修正が必要となることがあります。
- プライバシーやセキュリティ: 機密性の高い情報やセキュリティに関わるコードを扱う際には、ChatGPTを使用することが適切でない場合があります。プライバシーやセキュリティに配慮し、適切な対策を講じることが重要です。
これらの注意点や限界を理解した上で、ChatGPTを用いた業務効率化を活用することで、エンジニアは開発プロセスを効率化し、より高品質なソフトウェアを開発することができるでしょう。
転職活動支援 〜未経験からデータサイエンティストへ〜
ROYAL AGENT&Co.では、全コンサルタントが5年以上のキャリアコンサルティング経験を持ち、データサイエンティストやAI・DX人材のご紹介に強い転職支援を行っております。
候補者様のキャリアに寄り添ったご支援を心がけ、無闇に求人をご紹介するのではなく、丁寧なカウンセリングを通してご志向性にあった求人をピンポイントにご紹介させて頂いております。未経験からのデータサイエンティスト転職支援実績も多数ございます。
無理な勧誘など一切ありませんので、キャリアのご相談等、まずはお気軽にお問合せください。心よりお待ちしております!